セラミックと刀

肉屋という商売柄刃物にはうるさいかというと、実はそうでもないです。

最近になってセラミックの包丁を家庭用に買いましてその切れ味に驚いております。ただあんまりにも軽くてちょいと戸惑い気味。肉屋の包丁はデカくて重いですからね。

ところが凍らせたスープストックを切ろうとしたらあっけなくポッキリ折れてしまいました。うっそ~!? 

ネットで調べたらセラミックってのはあまりにも硬いので、ほんの少しの歪みにも対応できず実は簡単に折れてしまうんだそうです。その点鋼は柔軟性もあり自身曲がることでやり過ごせるんだという。

あれね。硬いのと強いのとは違うってことっすね。また買っちゃった。

 

 

この特性故に使い方が限定されてしまい、開発当初夢の新素材と言われながら思いのほか汎用性に欠けていたのかもしれません。

そういや風の谷のナウシカで辺境一の剣士ユパ・ミラルダがトロネキアの兵と闘った時、セラミックの鎧を突き通してましたっけ。ユパの剣は王蟲の甲羅で出来ていたんですってね。

 

新選組一番隊長沖田総司の佩刀菊一文字則宗は鎌倉期の古刀で、幕末の時点で既に700年を経て細づくりの実に美しい姿だったそうです。馴染みの刀屋から借り受けた当初、沖田は則宗を惜しむあまり刺客に襲われた時洛中一の使い手であるにもかかわらず抜かずに逃げたとか。

イメージとしては肉屋の包丁が近藤勇の虎徹で重さで叩き切る豪刀、則宗は流麗なセラミックってとこでしょうか。

折れやすいところもどこか若くして病に逝った沖田と重なるところがあるような気がいたします。

 

沖田の死後菊一文字則宗は姉の手を経て神社に奉納され、今も恐らくは東京からそう遠くはないであろうどこかの神社で蔵の奥深くに眠っているということです。

あ~見てみたいなあ~!