昨日の続き

 ドラマの中でバラエティー番組のオンエアの話がたびたび出てきまして、ディレクターが司会代行の片言半句にいちいちいちゃもんつけては視聴者から苦情が来るとヒステリックに叫ぶんであります。

何でもかんでもコンプライアンスだって。

この問題について日頃思っておりますのが弊社現場の掃除なんであります。


築五十年になんなんとする社屋は老朽化が著しく、排水口のオイルトラップなんぞ東北の震災の時の揺れで壊れかけほぼ役に立たないという。

だからって流した脂カスなどをそのまま排水してしまうってのはまさしくコンプライアンスに触れるわけで。

ではどうするか?

排水口の蓋を開け手を突っ込んでザルですくうんでありますよ。

もちろん汚物扱ってるわけじゃないけどドリップだの肉片だの洗剤の泡だの集まった濁り水はどう見ても十分にエンガチョ。

普段はホース係のみっち部長がやってますがいない時はあたくしだってやります。

人員減って久しぶりに掃除に参加するようになった時はこれ見てちょっとびっくりしましたけど、この手の場合にありがちな黒っぽい自虐や後ろ向きの気負いなど一切無くただ淡々と仕事としてこなす様子にちょっと感動してしましました。

大袈裟かも知れないけどあたしゃそんな奴を誇りに思いますね。


翻ってさきほどのふてほどの(韻を踏んでる。踏んでないわ!)場合はどうか。

要するにドブさらいするのが怖いから脂落とすなドリップ出すなってんでしょう?

そんなんで仕事になるかよ!

メディアの言葉狩りだって全部そうだし、見てる側にしても匿名性とワンクリックでクレームつけられる環境をいいことにして上げ足取りに嬉々としておりますよ。


これもふてほどの中で昭和のお下劣バラエティー番組で踊ってる女の子の又下から登場する司会者がエキストラがケガした時とても誠実に臨機応変な対応を見せ、バカやっててもいざとなると腰が据わってる印象的なシーンでありました。

昔が全部よかったなんざ全く思いませんが、少なくとも本分を尽くす熱量は絶対的に高かったと思います。

触んなきゃ怪我しないってのは卑怯だよ。


ちなみにドラマのエンディングでは人の運命について泣かせる場面もあり、これもクドカンらしい深みを出しております。

いいドラマでした。