ムッシュかまやつ
昭和も遠くなってまいりますと順々にあの時代らしい方々が鬼籍に入られるようになりますな。
かまやつひろしが亡くなりましたね。あたくし何とはなしに氏との浅からぬ縁を勝手に感じておりまして。と言ってもスパイダースの時代はやや子供過ぎて、主にソロになってからのことですが。
初めて自分の小遣いで買ったレコードがムッシュの「我が良き友よ」とダウンタウンブギウギバンドの「スモーキンブギ」でございました。小学五年生の時だったかな?
飽きるほど聞く一方でB面(時代ですね~)の「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」が妙に記憶に残りまして、遥か後年タバコを吸うようになってゴロワーズを愛煙したのは実にこの曲の影響だったんであります。
我々の年代ですとドラマ「時間ですよ」の子持ちのチョンガー釜田さん役で悠木千帆(現・樹木希林)に「かまたさ~ん」と言い寄られて逃げていながら、彼女に子供を預けてお座敷ストリップに行ってしまう話が印象深く、けど「お座敷ストリップってなんだろう?」なんて年でもありました。
更によく知ってる近所のおばさんが「あたしかまやつひろしに似てないわよねえ」とず~っと言ってたので(実際どうだったかは覚えてないけど)女の人は似てると嫌なのかしら?と、それも記憶に深く残っております。
そして近年では絶滅危惧種エルフのテーマソングがこれまた氏の「どうにかなるさ」で初めて皆様の前で弾き語りしたことであり、「やつらの足音のバラード」を歌いながらツアーから帰ったなんてこともございました。
決して歌の上手い人ではありませんでしたが独得の味と雰囲気で、同じグループ出身の堺正章や井上順がアイドル的スターになっていく傍らで歌と同じく特別な存在感を放ち続けた人でもありました。
ムッシュというのは若い頃猛烈にフランス人になりたがってたことから来たあだ名だったそうですね。年いってからも若いミュージシャンとの交流が広く面倒見の良さで広く慕われたあたりどことなく古い喫茶店のマスターとか昔バンドで鳴らした楽器屋のおやじといった飄々たる佇まいで、ある意味オンリーワンとはそんな生き方なのかもしれないと思われます。激流の脇を流れる水の中に顔を出してる岩の上で、いつまでも流されない草のような?
追悼の川柳です。
傍流に 枯れても青き ブッシュかな
合掌