褌を絞る
あたくしの好きな落語の噺の中でも特にある場面が好きという事があります。
「寄り合い酒」は町内の若い衆が集まって酒を飲もうという噺で、町内の若い衆がそれぞれ肴を持ち寄ってまた飲もうってんで、近目の魚屋から鯛をちょろまかしてくる奴家から鰹節を持ってくる奴。
料理にかかって三年板前修業したという男が、お吸い物作るので出汁を取ったのに出汁殻残して汁に褌を浸けてしまい「あのお湯もいるのかい?今浸けたばっかりだから絞ってもってくるよ」
吝嗇な主人がおかみさんのお産で郷に行った隙にお店の衆が酒盛りを始める「味噌蔵」 番頭さんが算盤ごまかしてそれぞれ食べたいものを取り寄せいい気分に酔ったところに突然旦那が帰宅。どうにかごまかそうとみんなで料理の上に座ってしまうのですがバレバレ。
「おい伸どん!タコの酢の物にお前の褌が浸かってるよ!そこで絞っちゃダメだ!」
どういうわけですかあたくし、この二つの汁物に浸かった褌を絞ってごまかそうというシーンが好きなんであります。
先日大好物の牡蠣しゃぶ湯豆腐をしまして、出汁のきいた残り汁を使いまわそうと取っておきました。翌日その器をカウンターに載せて包丁使っておりますと何やらぴちゃぴちゃ音が?
ふと顔を上げて見ますと、お茶々がだし汁に手ぇ突っ込んで顔を洗っておりました。
さっきトイレした手だよ、そこで絞っちゃダメえええ~~!!
https://www.youtube.com/watch?v=rYiFheJmZGo