地道

今度こそ本当に暖かい春が来たんでしょうか? まだ油断はできません  

 

創業者の息子というだけで社長を継ぎまして、当初キツかった事といえばパーティーなどでいわゆる偉い人に混ざってることでございました。

あたくしのような何の才覚も無い人間がおよそ場違いなと。

ある時そんな席で同じような業種の、もちろんうちなど足元にも及ばない会社のオーナー社長から「君はいい手をしてるねえ、働く人の手だ。君がその手をしてる限り君のところは大丈夫、二代目は大変だろうが頑張りたまえ。地道に地道にな」と言われまして。

人に先駆けて体使うしか取り柄が無いと自覚してましたので嬉しかったですねえ~。

脱骨やスライスでナイフを使うことが多く下手すりゃ五本の指に絆創膏巻いてたようなその時分から、冷凍庫で冷え切った後バケツに汲んだお湯につけて温めてを繰り返すまるで金冷方のような現在まで手を酷使してまいりまして、改めて見ればずいぶんと傷んでいるにもかかわらず成果はあまり出せてないという啄木じゃないけどじっと手を見るなんてんで。

でね

 

大分と時間を経てすっかり厚かましくなりそのような席もへっちゃらになった最近、あのお言葉頂いた社長にお会いしないなあと思ってましたら、M&Aで会社お売りになり海沿いの某所で悠々自適にお暮しであるという。

しゃ、社長~!地道じゃないじゃん! 

 

あたしゃ今でもこれからもずっと地道に行きますから~。

ま、望んでのこっちゃありませんがね