ゲイとゲイが芸に酔う

昨夜は渋谷に出張りました。ざぶとん亭風流企画・らくご@座主催の落語会「桃月亭白酒・長月二夜志ん生蔵出し」を見ようってんで。

誘ってくれたのはお絵かき名場面落語クイズにほぼ唯一コメントをくれる、カヤック仲間にして同じ落語ファンのいばさく師匠。お互いあんまし漕いでないけど 故あってか禿頭に剃り上げており一見ゲイハー。かくいうあたくし粉で粉飾しておる真性ゲイハー。ゲイとゲイっつ~訳ね。

会場の渋谷区文化総合センター大和田のある区域はその昔通った渋谷外語学校にほど近く、ほぼ40年振りの来訪。六階伝承ホールはざぶとん席のある粋な作りの会場でキャパ的にもちょうどいい感じ。

 

 レコード、テープ時代耳で聞きながら育ったあたくしに比べ師匠はライブ派で、更に落語のみにとどまらず日本の伝統芸能全般を精力的にに見聞しておられるという。落語の流派の変遷についても詳しく「今」に通じておられます。

 噺の方はいきなりから真打登場で間を挟み三席。落語てえものは通常演目は明かさないもんでして、まくらの流れから推し量って当てるのがまた密かな喜びなんであります。人間ドックから酒の話へと、ん~なんだろう?「親子酒」でした。

 

息子の酒癖の悪さから将来を案じたこれも飲んだくれの親父が、お互いに飲まない約束で禁酒をして三日目。我慢が切れて一合また一合と重ねてしまいすっかり出来上がったところへ息子が帰宅して・・・。

酒飲みならよく分かる意地汚さ。帰ってきた息子が輪をかけて酔っぱらっていた時のおかしさ。最初のひと口を飲む時の仕草ではあたくしも喉を鳴らしてしまいました。いいね~!

  

二席目との間は神田松之丞の講談「宮本武蔵」の抜き読み。絶滅危惧種である講釈師にあって若手のホープの名に恥じぬ今様を取り入れた熱演でございました。この人もっと聞きたいな~と。

 

 

続いてはディズニーランドを遊郭に例える爆笑のまくらから廓話「幾代餅」 

名作「紺屋高尾」とほぼ同じ筋で、純情な職人が懸命に稼いだなけなしの金で恋い焦がれた大夫と夢の逢瀬。真情にほだされた花魁と夫婦になるという「傾城に 誠なしとは 誰ぞ言うた」 戦前まで実在した餅屋に材を取ったラブストーリー、ええ話や~!

 

 

中入り後のとりは志ん生十八番「お直し」 おなじ廓話でも対極にあるような人間の深い業に根差した噺です。

毎晩お茶を引いて落ち込んでるのを慰めるうち割りない仲となってしまった花魁と牛太郎。情けある主の計らいで証文巻いてもらい夫婦となり女房はやり手、亭主は牛太郎で共稼ぎし暮らし向きは良くなりますが、夏冬の物から家財道具までそろってきますと男の方に悪い虫が・・・。

生計に迫られケコロで女房に客を取らせるという悲惨というかもの凄い内容で、演者によっては笑うどころじゃなくなっちまうところを軟着陸させるあたりが腕の見せ所。結構でした。

 

 

会がはねましてから師匠とちょい飲み。ゲイとゲイで芸談に花を咲かせたんであります。

思うに独演会というのは肉屋の飛び込み営業のようなものではなっから肉を必要としている先に売り込むわけですから売り手と買い手の息は合いやすく、寄席は戸別訪問のセールスマン、売れるか売れないかはドアを開けさせるか次第みたいな?今宵の営業は上々の首尾!

やっぱ生はええわあ~!落語は素晴らしいわあ~!いばちゃんお誘いありがとね。またいい席あったら是非よろぴくっ!