少年駅伝夫
細かい仕事でやたら忙しい今日この頃であります。
誕生日が12月30日なのでまだ59にもならないのに、既に来年の還暦モードに入っております。
だからといってことさら思うところもない割に息子が30になったというのは何やら重いものがあり、これが相対時差というやつかと。違うけど。
なわけで子供の学校に行くなんてこともはるか昔の事となり、その時分まだあった後ろのロッカーの上に本を並べた学級文庫がまだ存在するのかと気にかかりまして。
やりませんでしたか?口の端を指で引っ張りながら「学級文庫」って言うやつ。
久しぶりにやってみて。
そりゃいいんですが
先日読んだあるしょ~もない小説の中に少年運転手なる言葉がありまして、バスの運転手なのに少年ってあたりからすでにこの作品の破綻を感じておりましたがそれで思い出したのが「少年駅伝夫」という物語で。
教科書の中の読み物がなぜか好きだった少年時代に繰り返し読んだこのお話は、小学校何年生だったのかしらん?
思い出したらどうしてもまた読みたくなりまして、廃刊の中に分け入り探したらあったんです!すぐ買っちゃった。
挿絵の感じも装丁も昔のままで懐かしくってね~。
四輪駆動車なんて影も形もなかった昔真冬の北欧を、村々に置かれた駅舎間を繋ぐ橇馬車で旅した作者の体験談で、ある村で出会った少年駅伝夫と道に迷って一晩を猛吹雪の中明かした時のお話。
もちろんダウンジャケットなんぞ無かった時代、干し草と毛皮を幾重にも重ねた馬車の中の不思議な温かさと少年の寝息が感じられるようで子供心に強く残った作品でありました。
ずっと後に黒澤明の「デルス・ウザーラ」を見た時に、ツンドラの真ん中で雪嵐に巻かれる有名なシーンでこのお話を思い出したのってもしかしたらあたくしの他にもおられたかもしれません。
50年ぶりくらいに読んでみたら大分昔の印象とは違いましたけどね。
殺伐とした今の世の中で久しぶりに触れた童話はいいものでございました。