友達

寒いと思ったら十二月の気温だという 

 

昨夜は学生時代の友達と十年ぶりに再会して飲みました。


大学入学後のオリエンテーションキャンプに向かうバスで隣に座ったのが出会いという最初にできた友達で、草野球チームではバッテリーを組み、二か月間の欧州バックパッキングの途中落ち合いロマンチック街道をレンタカーで走り、満月のノイシュバンシュタイン城で飲み明かしたり。
有名進学校からどう間違ったか我が立正大学に来た秀才だけあって、仲間内で唯一一流企業に入って後は海外勤務の合間に卒業後もよく飲んだものです。
割とクールな男だけにあまり意識しませんでしたが、こう書いてみるとまぎれもない親友であったなあと改めて。
 
実はもう一人の親友がいて三人つるんでの付き合いも長かったのですが、十年前集まって飲んだのを最後にそれぞれ家庭の事情というやつで昨日まで会うこともなく、思いもよらず去年彼は突然亡くなってしまったのでした。
 
ご遺族から唯一連絡もらって複雑な事情を知るあたくしから亡くなったことだけは伝えられましたが、ウィルス騒ぎで伸びに伸びた後ようやく昨夜故人を偲ぶささやかな夕べとなったわけです。
口明けの生ビールを注文する時奴が三つ頼み「どなたかお見えになりますか?」と言うおねえさんに「いや、いるんです」なんてんで、クールだと思ってた彼の意外な思いやりに触れて思わずグッと来てしまいました。
献杯の後は相手は覚えているのに自分は忘れてるような思い出話がどんどん出てきまして、実に実に楽しい夜でした。
 
以前友人の多さを自慢にしていたあたくしに親父が「最後に残るのは片手に余るくらいだぞ」と言っていた意味の分かる年になりましたが、残ったものの大切さもまた分かる年であります。
駅まで肩組んで歩きながら、来年還暦の年には同級生集めてまた飲もうと約して別れたことでございました。